トルコ (2)

2003年10月16日〜10月21日 カッパドキア〜コンヤ

   
ウチヒサール(カッパドキア)

  2003年10月16日〜17日 アヴァノス〜ギョレメ〜カッパドキア周辺 36km+0km TOTAL20,636km

  奇岩洞窟の家

奇岩の根本に洞窟の入り口が開いている カッパドキア地方は紀元前もの昔から人が岩山を削って造った部屋に人が住んでいたり、蟻の巣のような地下都市が造られていたことで知られている場所。そこは文章では説明できない凄い景色が広がっていた。キノコやタケノコのような天然の奇岩群、それらに穴を開けて作られた住居跡など、どれもこれも自然の技・人間の技とは思えないものばかり。

洞窟の中のキリスト教会 奇岩に開いた住居跡のいくつかに入ってみると、中はそれぞれ6畳〜40畳間くらいの空洞が開いている。その一つに昔、教会として使われていたような部屋があり、壁の一部に十字架の壁画が描かれ、その足元が祭壇のようになっている。円柱状の柱まで彫り出してあり、柱と柱の間の天井部分は丸いアーチ状になっていた。造りが普通の教会そっくり。

ロケット状の奇岩がそびえ立つ 蝋燭状の奇岩が林立している所では今でも実際に住居として利用されている奇岩洞窟があった。最初は観光用のカフェか何かかなと思ったのだが、覗いてみたら一般の人の住宅。ホテルとして利用されている洞窟はあるけど、いまだに住居として人が住んでいるとはびっくり。
 図々しくもお邪魔させてもらうと中は絨毯が敷き詰められていて、窓には木枠付きのガラスが入れてあった。かまども岩を削りだして作ってある。ここではコーヒーを頂いた他、みどりはトルコスタイルスカーフを頭に巻いてもらい写真を撮らせてもらった。お礼に目覚まし時計をあげる。

 


CAPPADOCIA

奇岩洞窟の入り口 今も住居として利用されている奇岩群

奇岩に窓が開いている 奇岩の窓からみた景色 

トルコのイスラム女性のコスチューム 住居として利用されている奇岩洞窟

 

 【みどり日記】

 洞窟ペンションに泊まる

洞窟ペンション 今日はいよいよカッパドキア。一番楽しみにしていた場所。テレビでも見たことがあるような洞窟のホテルに泊まりたいと思っていたところ、ちょうど車で通りかかったトルコ人父娘に声をかけられた。彼は偶然にもギョレメにある洞窟ペンションの共同オーナーだという。奥さんが日本人だということで、流暢な日本語を話す。アヴァノスでカーペットショップも営んでいるそうだ。
 彼に案内されたペンションはまさに理想通りの宿だった。岩をくり抜いた空間に窓とドアが付けられ、ピカピカ新品のトイレ、シャワーまで備え付けられていた。清潔なベッド、床と壁にはトルコ風のカーペット。殺風景で冷たい印象の洞窟も、カーペットを敷いたり壁に掛けたりするだけでとても暖かい感じになった。シンプルだけど味わいのあるその部屋からは、町の奇岩群を見渡すことができた。

 カッパドキアにあるいくつかの町の中でも、ギョレメにはこのような奇岩洞窟の宿が多い。お土産屋やレストランもたくさんある。民家は奇岩を利用したり、それと調和するように石垣やブロックで造られていた。
 夜になると洞窟ホテルの明かりやライトアップで、ギョレメの町はとても幻想的になった。シーズンオフのためか旅行者が少なく、観光地のガヤガヤしたところがないのもいい。しっくりと岩々の中にたたずむこの町は、とても居心地が良かった。
 この辺りは国立公園なので、住民や店を持つ人は国から場所を借りているのだという。あるレストランで聞いたところ、土地の賃貸料は1年間でUS$5,000(約60万円)だと言っていた。安いとみるか高いとみるか。でも、こんな所に住むなんて何て童話的で素敵なんだろう。

 

  2003年10月18日〜19日 ギョレメ〜カイマクリ〜イフララ〜ギョレメ 215km+0km TOTAL 20,852km
 地底都市

地下都市の通路は人が一人通れるだけの狭い道 カッパドキアではいくつかある地下都市のうち二カ所を見て回った。ひとつは観光バスが何台も止まり、土産物が軒を連ねているところ、もうひとつはあまり観光化されていないマイナーなところ。
 マイナーなところでは先客が誰もいなく、入るときに管理人のおばちゃんが電灯をつけてくれた。しかし電灯がついているのはすべてではないので、ヘッドランプの明かりを頼りに真っ暗な洞窟を進む部分もある。そんな場所ではヘッドランプを消すともう真っ暗闇で右も左もわからない。しゃがんで四つん這いにならなければ進めないくらい天井低くて狭い通路を通ったり、暗闇の中から突然大きなコウモリが飛んできたりしてスリル満点だ。

階段の幅は30〜50センチ そういえば炭坑にあるような落盤防止の坑木がないのが気になるところ。考えてみたらこのへんの地盤や奇岩の山は軽石のようなものでできているので、穴を開けても落盤するようなことはほとんど無いようだ。

 観光地化されている大きな地下都市では、ちょっと高かったが英語の話せるガイドをつけて案内してもらった。
 ガイドの話によると、カッパドキア地方にはたくさんの地下都市があるのだが観光用に公開されているのは全体の10%足らずだそうだ。今いるところも地下8階まで部屋があるが、一般に公開されているのは地下5階まで。
 洞窟内部の気温は一年中約15度くらいで安定している。今日は外を歩いていると汗ばむくらいの陽気があるが、洞窟の中に入るとひんやりと涼しかった。それに冬季は外気温が氷点下30度まで下がることがあるそうだがやはり中は15度くらいに保たれる。

 地下都市の内部は快適に生活するための工夫が施されていた。オイルランプを置く窪みや、天井にゆりかごを吊す穴など細かい仕組みをはじめ、空気穴として機能する縦穴が深さ130メートルも掘ってあったり。この縦穴は外敵に毒物など落とされたりしないよう、地表からは見つからないよう隠されている。
 共同炊事場では火を焚いて煮炊きができたそうだ。洞窟の中で火を焚くなんて危なっかしく思うが、煙突がついているので一酸化炭素中毒になることはないらしい。しかも煙突は地表近くで何本にも枝分かれしているので煙が分散して排気され外敵から見つからない。また、家畜を飼ったり、ワインの醸造も行っていたと言うから驚いた。こうして一時期は数千人、数万人規模の人々が地底で生活していたとのこと。

夕日でバラ色に染まる 地下都市を見た後、往復100km走りイフララ渓谷へ。渓谷なので山の中にあると思ったのだが、平原に突然深い亀裂があって、岩盤が垂直に切り立っていた。
 そしてホテル近くまで戻り、渓谷のサンセットビューポイントで奇岩の谷がバラ色に染まるのを見る。大きな観光バスが5〜6台止まっていて、崖っぷちでは何百人もの観光客が夕日を眺めていた。

 【みどり日記】

 カッパドキア観光

イフララ渓谷にトゲトゲの花が咲いていた 居心地の良いギョレメの洞窟ペンションに荷物を置いたまま、そのほかのカッパドキアの観光地にも足を伸ばした。カッパドキアには、きのこ岩で有名なウルギュップやギョレメ、オルタヒサール、ウチヒサール、といった奇岩群のほかに、地下都市のあるデリンクユやカイマクリ、大地が突然裂けたようなイフララ渓谷などがある。イフララ渓谷まではギョレメから100キロ近くあるので、こんなときはバイクの機動力がありがたい。

 トルコの見所はどこも有料で結構高い。しかも駐車場も有料。あちこち見て回りたいのは山々だけれど、観光しているだけで宿泊料よりも高くなってしまった。
スイスから走って来たディフェンダー さらに地下都市の観光では、声をかけてきたガイドが半値にまで負けてくれたのでついつい雇ってしまった。ガイド料は高いけれど、説明があるとないとではだいぶ興味も違ってくる。二倍の価値が出る。今までも遺跡などを観光するたびにそう思ってきた。地下都市では、130mの縦穴の深さを示すためにコインを落としてみせてくれた。落としてからしばらくするとコーンという響き。その深さがわかってゾッとした。これもガイドあってのパフォーマンス。
トルコ料理 「サチュタバ」 ただ、知識的には乏しいけれど、自分たちで勝手に探検気分で進んでいったもうひとつの地下都市も印象深かったなぁ。「隊長、真っ暗で何も見えません!」なんて言いながらワクワクしていた。
 同じ観光でも五感を働かせ身体を動かして見たものの方が、おもしろくて記憶に残る。

 

 

  2003年10月20日 ギョレメ〜アクサライの先 148km TOTAL 21,000km

 観光コースはすぐ飽きた

 今日は次の目的地への行きしなに、ギョレメ・オープンエアーミュージアム、ウルギュップのキノコ岩、オルタヒサール、ウチヒサールなどの奇岩住居跡に寄る。ミュージアムは奇岩の谷間に立派な遊歩道がついていて、完全に観光地の趣だ。入場料一人約1000円も払って入ったものの、30分も見ないうちに飽きてしまった。
 やはり初日に行った観光地化していない奇岩住居跡をヘッドランプを頼りに探索する方がよっぽど楽しかったね。地下都市も同様、ガイドがいるような大きい地下都市よりも、マイナーなところで電灯もついていない真っ暗な洞窟をヘッドランプの明かりを頼りに探索するほうがスリルがあって楽しいよ。

ウチヒサール

 クレイジー・アリ

空冷単気筒のBMW オルタヒサールの奇岩をバックに写真を撮っているとき、「クレージー・アリ」という骨董屋の主人が出てきて、お茶を出してくれた。彼もバイク乗りで、店の前には50年前のクラシックなBMWが停めてあった。遠くから眺めているとエンジンをかけてくれて「乗ってもいいよ」とのお言葉。さっそく乗せてもらったが、いつ壊れても不思議ではないレトロな乗り心地。よぼよぼのおじいさんに肩ぐるましてもらっているような申し訳ない気分になり、広場を一周回っただけでやめにしておいた。

 

ウルギュップのキノコ岩

 

【みどり日記】

 トルコ石

彼は日本でのビジネス展開を計画中 高台からウチヒサールを見ていると、向かいの宝石店から出てきたトルコ人男性に流暢な日本語で話しかけられた。彼は日本に婚約者がいるという。日本の話がしたいようで、私たちを社員食堂に案内して昼食までご馳走してくれた。
 つい最近も、彼女のお父さんを説得するために日本へ行ってきたばかりだという。本当は就労ビザで行きたかったけれど、三ヶ月の観光ビザしか取れなかったそうだ。ビザの問題が解決して、彼女のお父さんも許してくれたら、結婚して日本でトルコ雑貨屋をやりたいと言っていた。日本で商売をする上での法的な問題まで調べてきたそうだ。

日本では珍しい濃い色のトルコ石 お店のトルコ石を見せてもらうと、いろいろな種類があるのに驚いた。水色や青、少し黄みがかった青、黒いすじ模様が入っているもの等々。日本にあるのは水色のものばかりで、ここにあるような模様入りの深い青色のトルコ石はあまり売られていないそうだ。これらのトルコ石をトルコでアクセサリーに加工して日本で売ると、何倍もの値段がつくという。彼は今の仕事でつてがあるので、仕入れはたやすい。

オルタヒサール 原石は地中深く埋まっていて、青い色も磨かないとわからないらしい。アララト山近辺が産地だが、今はもうあまり取れなくなってきているという。中国辺りでも取れるけれど、筋が入っているので割れやすく、宝石向きではないようだ。やはりトルコ石はトルコ産が一番。
 
普通の石を青く塗っただけの偽物もトルコ石として出回っているので、ここでは鑑定書を出してくれるそうだ。本物は表面だけじゃなく、中も青い。そんな話を聞いた後日、弘行はお守りとして日本から持ってきたトルコ石の欠けた破片を見ながら言った。「このトルコ石も、中身白いね。ハハハッ。」

 ブッシュキャンプで玉子丼

 今日は地平線が見える大平原の真ん中でキャンプ。夕日も美しい。
 そろそろ日本の味が恋しくなってきたので、ご飯を炊いて玉子丼を作ることにした。鰹だしとお醤油の味がたまらない。あまりのおいしさに病みつきになりそうだ。卵とタマネギを買うだけなので、とても簡単。
 シベリヤにいた頃とは違い、日は短くなったけれどここは虫もいないし陽気もいい。キャンプで料理をする気にもなってきた。
 天の川が見える星空のもと、今日も気持ちのいいキャンプだなぁ。

トルコの子供達

  

 2003年10月21日 アクサライの先〜コンヤ〜エーリディル 335km TOTAL 21,335km
 土漠の羊飼い

 昨日はハイウェイから外れて土漠の中に入り、360度地平線の見える荒野にテントを張ったのだが、朝、テントの中で身支度をしているとき、誰もいないはずの荒野に人の声が聞こえた。入り口を開けるとテントのすぐ外に羊飼いのおじさんが立っていて驚く。こんな荒涼とした土漠に羊を放牧している人がいるとは。モンゴルなどと同様、トルコは牧畜が盛んで、誰も来ないような荒野にもけっこう羊追いの人がやってきたりするものだ。
 テントを畳み出発。昼近くにコンヤの町にさしかかった。町ではメブラナ博物館を見学。金箔で装飾された内壁がまぶしい。

半砂漠地帯で360度地平線のブッシュキャンプ

 【みどり日記】

 世界最古の町コンヤ

 地平線が広がる大平原の中を、コンヤに向かって走った。
 コンヤには紀元前3000年ころから人が住んでいたことがわかっており、世界最古の町のひとつといわれている。ルーム・セルジューク朝の首都でもあり、その当時の美しい建物が数多く残っている。

 たくさんあるモスクの中のひとつ、メブラーナモスクを訪れてみた。なぜここを訪れたかというと、ガイドブックを持ち合わせていない私たちにとって唯一の情報源であるロードマップに、このモスクの写真が載っていたからである。前庭の池に映るモスクの美しい写真を見て、そこへ行ってみたい思った。けれど、モスクの周りをぐるっと歩いてみたのに、写真の場所は見つからなかった。いったいどこから撮ったのかしら。もしかして合成写真?
 メブラーナモスクは博物館になっていて、中にはメブラーナの立派な棺が納められていた。日本人ツアー客なども来ていたので、たいそう有名な博物館なのだろう。陳腐な理由で訪れた私たちは、何の知識もなく恥ずかしいばかり。

 コンヤから先は山がちになってきて、湖も数多い。りんご畑が広がり、収穫され山積みされたりんごやそれを運搬するトラックを見かけるようになった。辺りにはりんごの甘い匂いが漂っていた。

 


みどりの食卓

【左】サチュ・タバ 鉄板焼き。牛肉のサイコロ切り、トマト、ペッパーなどが入ったトマトベースの味付け。ジュージューと熱い鉄皿のまま出てきた。
【右】チキンカレー 鶏肉のカレー風味。

 

【左】ドネルケバブ(薄切り肉を重ねて回転させながら焼いたもの)を削ぎ切りにして、ライスの上に乗せたもの。トルコ風サラダも添えられていた。こちらはチキン。
【右】左と同じ。こちらはビーフ。

 トルコ料理にはグリーンペッパーを使うことが多く、スパイシー。それほど辛くないペッパーもあるけれど、一度ガブッと食べてしまったときは、その辛さに吐きそうになってしまった。スパイシーな料理を食べるので、ヨーグルトやアイランと呼ばれるヨーグルトドリンクもよくとられる。
 サラダにはレタスが使われるようになってきた。トマト、きゅうり、たまねぎスライス、そしてグリーンペッパーが入っていることも多い。

 


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