カザフのツーリングライダー、ヴィクトルに会う
セメイから二泊三日の行程でアルマトゥイへ到着。この町は正式にはカザフスタンの首都ではないのだが、各国の大使館が集合し、事実上首都のような機能を果たしていた。
町でホテルを探していると、スクーターに乗ったカザフ人が止まってくれた。ビクトルと名乗る彼は実はカザフでも珍しいツーリングライダーで、何カ国もバイクで走った経験を持っていた。訊くと最近までモンゴルに滞在していたそうで、なんと7月15日に路上で僕たちとすれ違ったという。そういえばウランバートルからロシア国境へ行く途中でアフリカツインばかり7台のバイクツーリストとすれ違ったっけ。彼はその中の一人だったらしい。あれから一ヶ月弱、モンゴルから何千キロも離れた場所で再会できるとは奇遇、これも何かの縁だろう。安いホテルを何件か教えてもらったあと、明日さっそく彼の働いているバイクショップへ顔を出すことにした。
翌日訪れたバイクショップは、日本の中古バイクが10〜20台置いてあり、何人かのメカニックがバイクの整備をしていた。働いているというよりも趣味で始めたような感じで店の名前もまだ無いらしい。訊いたら「アルマトゥイバイククラブとでも言っておくかな」との答え。消耗部品の在庫状況は中古のタイヤが少々。あとは中古バイクの部品が期待できると言ったところか。バイク屋が皆無な中央アジアの事なので将来の発展を期待したい。
写真を見せてもらいながらお互いの旅の話に花が咲く。ビクトルは毎年の夏休みを利用し大陸を何度かに分けて横断していた。昨年はヨーロッパからトルコを経てカザフスタンまでのルートを、今年はカザフ〜ロシア〜モンゴルのルートを6人のスイス人をガイドしながら走ったそうだ。そして来年はモンゴルから北京まで、さらに再来年は北京から日本までのルートを予定している。日本へ来たときは是非サポートしてあげたいところ。連絡先を交換し日本での再会を約束した。
バザール
アルマトゥイの中央市場にはありとあらゆる食材が揃っていた。精肉売り場では豚、牛、馬などの肉が固まりで店頭に並び、鶏や羊は一匹まるごと吊されて並んでいる。
このあたりでは「バザール」と呼ばれる市場だが、モンゴルのザハではあまり見なかった男の店員が多くなる。特に香辛料を売っている人は彫りの深い顔をしたオヤジばかり。買いに来た客もヒゲ面の男がちらほら。イスラム色が強くなると買い物が男の仕事になると聞いていたが、中央アジアに入り少しずつ文化圏が変わってきたのを感じた。
【みどり日記】
アルマトゥイでホテル探しに奔走
ガイドブックで目星をつけていた安ホテルゼルデは営業していなかった。
スクーターに乗ったお兄さんビクトルも2件ほど案内してくれたが、40$と少し高い。中国大使館横のホテルも同じく40$だった。同じくガイドブックに出ていたホテルDauletは、改装されたのかとても綺麗になっていて、しかも100$くらいと値段も高くなっていた。アルマトゥイは他に比べホテルが高い。
紹介されたホテルアルマトゥイへ行ってみた。シングルしかなかったが、3300テンゲと手頃な値段だ。シングルを二人で使うことにした。
ホテルに着いたとたん、雷を伴う大雨が降ってきた。間一髪助かった。この大雨のなか宿を探してさまようなんて、考えたくないほど惨めだ。
カザフスタンのビザ
私たちのビザは、1ヶ月シングルエントリーのツーリストビザである。
有効期限は、ビザに記載された日付から日付までという国もあれば、その期間中に入国すれば入国日から1ヶ月間有効という国もある。ビザの期限が8日で切れる私たちは、カザフスタンがどちらのタイプなのかというのは大問題であった。それを聞くためにオビールへ行った。
オビールはパスポートを持ったカザフ人でごった返していた。案内所もないし、英語のわかる受付もない。人に聞きながら指示された部屋へ行ってみたが、相手にされなかった。それでもずかずかと入っていき質問を繰り返す。カザフのビザは前者だったようで、私たちは8日までに出国しなければいけないことがわかった。
ビザの期限を延長してもらうことも考えたが、ツーリストビザの場合、延長もできないという。今後のルートについて検討していたけれど、ここはもう出るしか道はない。ビザなしで行けるキルギスへ向かうことにした。
シングルエントリーというのは、一回しか入国できないビザである。国境が入り乱れたカザフの場合、主要道路がいくつもの国境をまたぐところもあるので、ダブルエントリービザをとっておいた方がより動きやすい。
レジストレーションで罰金
オビールでは、私たちのビザを見ながらやたらと招待先の欄を指し示す。レジストレーション(外国人登録)は、入国後5日以内にやらないといけないそうだが、私たちはセミパラチンスクのホテルで済ませたはずである。したがって、特に気にもとめていなかったのだが、大きな間違いであった。
カザフスタンのレジストレーションは、インビテーション(招待状)を出してくれた招待先に出向いて登録をしなければいけなかったようである。ビクトルの知り合いの旅行会社でそれを初めて知って、青くなってしまった。もうすでに入国してから6日もたっている!
幸いにも、招待先はアルマトゥイにあるホテルだった。これが全く別の都市だったら、ビザの期限までにレジストレーションもできなくなるところだった。
慌てて招待先のホテル「オトラル」へ行くと、担当のおばちゃんが何とも難しい顔をしながら私たちのビザを見ていた。
「今日はもう遅いから、明朝9時にここへまた来なさい。」と言われて帰された。ポリスと相談するそうだが、罰金もかかる模様。
翌日、ドキドキしながら出向いた。結局一人当たり、レジストレーション2,200テンゲ、罰金800テンゲかかった。夕方、パスポートに青い紙のレジストレーションが貼られて戻ってきた。2日ほど期限は過ぎてしまったが、何とかこれだけの罰金だけで済んで良かった。実は招待先にも罰金が科せられるそうで、迷惑をかけてしまった。
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